068 はじめての開頭手術20 そういうこともある

4panel068はじめての開頭手術20

 弘法も筆の誤りです。

 今回は硬膜の吊り上げという操作についてです。第10話の解説文でも少し触れましたが、硬膜と頭蓋骨の間の空間(硬膜外腔)には細かい血管がたくさんあり、隙間が空いているとジワジワ出血してきます。

 硬膜を骨に縫い付けて密着させると出血は止まりますが、これも意外に力加減が難しい作業です。硬膜を深く縫いすぎると脳を傷つけますし、針穴から髄液が漏れだすこともあります。ギリギリ貫通しない程度の深さで硬膜を縫うので、強く結ぶと硬膜が裂けてしまってやり直しになります。かといって緩くむすぶと出血が止まりません。

 上の4コマに描いたように引っ張り方が強すぎると糸自体が切れることもあります。 慣れると力加減はそう難しくありませんが、教授がかけた糸を結ばされる時なんかは結構緊張します。

※最後のコマで動揺した灰府先生が手を口元に持っていってますが、基本的にマスクは不潔(=滅菌されていない)なので手を近づけてはいけません。 ガウンにつながっているタイプの清潔なマスクであっても口元を触るのはあまり好ましくありません。ただの漫画的描写ですのでご容赦ください。