060 はじめての開頭手術14 顔にかけちゃダメ

4panel060はじめての開頭手術14

 若手の脳外科医(とくに研修医)の多くが一度はやる失敗です。私も何度かやらかしております。

 第7話でも少し触れましたが、手術においては清潔(=滅菌済みの状態)と不潔(=滅菌されておらずどこに細菌が付いているか分からない状態)を厳密に区別します。患者さんの傷口や体内に触れて良いのは当然「清潔」なモノだけです。

 手術用顕微鏡(Surgical Microscope、略してマイクロとか呼ばれます)は超高性能なレンズや電子部品が詰め込まれた精密機器です。ウン千万円します。

 顕微鏡自体を滅菌することは不可能ですので、滅菌済みのビニールカバー(ドレープ)で覆って顕微鏡を清潔な状態にします。ドレープは細長~いビニール袋のような形をしています。

 滅菌ドレープは折りたたまれた状態(未使用のコン◯ームに似た状態)でパッケージに入っていますので、パッケージから取り出したら袋の外側だけを上手に持ちながら少しずつ顕微鏡にドレープをかぶせていきます。袋の内側は顕微鏡に触れますのでどんどん不潔になっていきます。

 この際、「清潔」なドレープの表面(袋の外側)が「不潔」な頭や顔や床に触れてしまうとアウトです。一部でも不潔になれば基本的には一旦そのドレープを廃棄して、新品を出してもらって付け直しになります。

 無事にドレープを装着し終わったら清潔手袋を新品に交換します(ドレープを装着する際に手袋もどこかが不潔になっているかもしれないので)。  

 今回は顕微鏡描くのが大変すぎて心が折れそうでした。細部の描写は誤りだらけと思われますがご容赦ください。