先端がやや丸くなっているとはいえ、パッサーで無理をすれば重要な臓器を傷つけてしまいます。腹部～鎖骨下部の創まで皮下トンネルを作る際には、肋骨よりも深い層にパッサーが入ると肺に刺さります。まあ普通にやってればありえませんが。比較的よくある失敗は、想定よりも浅すぎる層にパッサーが進んでしまい、途中で皮膚を突き破って体の外に先端が突き出てくるというものです。それでも滅多にないですが。
上に描いたのは尾ひれをつけたかなり極端な例ですが、初歩的な手術でも慣れてきて雑になると怒られます。
4コマ目のように手術器械が不潔な場所に触れてしまうと当然ながら使用不能となります。施設によっては帽子やマスクも滅菌済みの清潔なものを使ったりしますが、それでも帽子やマスクには清潔なものは極力触れさせないのが普通です。手術着を着た術者の体で清潔とみなす部分は両腕と上半身の前面くらいしかなく、背中や膝のあたりはガウンであっても不潔と考えます。