034 みんなでVPシャント術⑧ シャント渡します

4panel034みんなでVPシャント⑧

 いつもメッセージをいただいている方ありがとうございます。今回はわかりづらい4コマで申し訳ありません。

 器械出し(直介)の看護師さんだけでなく、手術室では手術ガウンを着ていない看護師さんも重要な役割を果たします。このような役割を「外回り」と呼びます。今回出てきた本多さんがそれにあたります。外回りは医師が手術ガウンを着るのを手伝ったり、手術器械の箱を開けて器械出しに手渡したり、様々な記録をつけたりとなかなか忙しいです。看護師さんたちは器械出しをやったり外回りをやったり、手術毎にちょくちょく入れ替わります。新人が器械出しでベテランが外回りをやることもよくあります。

 医療現場で言う「清潔」は「滅菌済み」のことであり、手術に使う器具や体内に埋め込む器具、術者や器械出しさんのガウンや手袋は「清潔」です。逆に「不潔」は滅菌済みでない状態であり、どこに細菌がついているかも分からない状態です。手術室では感染症予防のため厳密に「清潔」と「不潔」な領域が分けてあります。見た目のキレイさや汚さとは関係ありませんので、「不潔」にさえなっていなければ血みどろのメスや手袋でも「清潔」なのです。以下、清潔と不潔という単語は医学用語としての清潔・不潔を示しています。

 VPシャント術で体内に埋め込むシャントシステム(シャントバルブとシャントチューブ)は清潔な状態でパッケージに入れられています。しかしパッケージの外側は不潔な状態です。これを清潔な状態のまま器械出しさんにパスするためには、外回りさんが2コマ目のような手つきでパッケージを開封し、中身には絶対触らないようにして差し出します。器械出しさんは不潔なパッケージの外側に触れないようにして中身を取り出し、手術器械を置いておく台の上に持って行きます。

 もしもこの受け渡しの工程のどこかでシャントシステムが不潔になってしまうと大変です。不潔な機器を体内に埋め込めば細菌の繁殖場所となってしまいますのでそのままでは使えません。しかしシャントシステムは精密機器ですので高圧蒸気や薬品での再滅菌も不可能です。20万円~30万円するシャントシステムがちょっとのミスでおじゃんになってしまうのです。いろんな意味でスリリングな職場です。