065 はじめての開頭手術17 ちょっと嬉しい

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 ひさびさに更新できました。諸事情により本業(医者)が死ぬほど忙しくなっていたのでほぼ一ヶ月ぶりです。更新していなかった間もアクセスいただいた方々、本当にありがとうございました。

 しかもいきなり文字ばっかりの解説マンガで恐縮なのですがとりあえず解説しておきます。

 動脈瘤の手術(クリッピング術)ではシルビウス裂や大脳半球間裂といった「脳と脳のわずかなスキマ」を大きく広げて、そこから動脈瘤を挟んで潰すためのクリップを入れます。

 このスキマにはくも膜というホントにクモの巣のような膜がびっっしりと張っています。これをチマチマとハサミなどで切っていくと、少しずつ脳と脳のスキマが広がっていきます。スキマにあるのはくも膜だけではありません。切ってはいけない重要な細い血管が無数にあります。それらを選り分けながら奥の方に進んでいく、非常に繊細な作業です。

 7コマ目は実際の手術で見える風景に近いものを描いています。実際にはもっとくも膜を切ってしまわないと動脈瘤は見えません。しかもこの絵の何倍もくも膜が張りめぐらされています。

 手術の途中で血管の走り方や位置関係がわかりづらくなることがあります。そういう時は術前に撮影した色々な画像をもう一度見直します。3D-CTAは造影CTという検査で撮影した数百枚の断層画像を再構成して立体的に見えるようにした画像です。初心者がみても位置関係がわかりやすいです。

 アンギオ(Angiography=血管造影検査) はカテーテル検査で得られる画像です。基本的には平面的な画像ですが、細かい血管や血流の流れ方まで動画で見ることができます。最近はアンギオ画像を3Dに再構成できる装置も普及してきています。

 セーレ(Schere)はどちらかというとシェーレの方が発音が正しい気がしますがみんなセーレって呼んでいます。サードA2や穿通枝という単語はそれぞれ脳の動脈の名前みたいなものです。これ以上知りたい方はググッてみてください。 

 上手い先生の手術を見ていると、進行がスムーズすぎて手術がすごく簡単そうに見えてしまうことがあります。いつか私もサクサクとシルビウス裂が開けられるようになりたいです。

 今回も長文ですが読んでくださった方ありがとうございました。