やっと手術の終盤にさしかかりました。遅筆すぎて申し訳ありません。
チタン製の動脈瘤クリップは専用のクリップ鉗子(かんし)の先に取り付けて動脈瘤のところまで持っていきます。そっと鉗子を外すとクリップが閉じ、動脈瘤が潰れます。この際に動脈瘤が破裂することがありますので、助手はいつでも大量出血を吸引できるように備えておかなければなりません。
クリップをかけて動脈瘤を潰したら次は開いた頭を閉める「閉頭」にうつります。実際にはクリップで動脈瘤が完全に潰せているか、大事な血管をクリップで挟んでしまっていないか、頭の中の止血が完全にできているかを入念に確認してから閉頭操作に入りますが、その辺りの描写は割愛しました。
新人でも閉頭操作はさせてもらえることが多いです(もちろん危なくない範囲のみですが)。しかし上級医が疲れていたり急いでいたりすると自分でサッサと閉めて終わらせてしまうこともあります。そんなときは「やりたい」アピールが重要です。
「手を洗う」という語は単純に清潔手洗いをして手を滅菌するという行為以外に、「清潔手洗いをした上で清潔ガウンを着て、手術の助手(もしくは術者)を務める」という意味でも用いられます。例えば「今日お前手ぇ洗うの?」は「今日お前手術に入るの?」という意味です。