いつもメッセージを頂いている方々ありがとうございます。
PC版のページのトップ絵を描いてみました(2015年9月27日更新)。
VPシャント術も脳神経外科手術の中ではわりと初歩的な部類の手術です(慢性硬膜下血腫の手術よりは色々と危険ですが)。人手が足りていれば2チーム編成でやることが多いです。
頭部のチームは慢性硬膜下血腫と同様に穿頭を行います。同時に腹部のチームはお腹の皮膚を5~6cmくらい切開して腹筋を分けていき、腹膜を切開して腹腔を開放します。その後、皮膚の下にトンネルを作って頭部と腹部の傷をつなぎ、皮膚の下にチューブを通します。
同期みんなで一緒に手術に入れる機会はそう多くないので、上のような状況になるとちょっとテンションが上がったりしますが、一緒に入らされる指導医の先生は大変だと思います。
※以前の記事でご指摘をいただいた点について
ナースキャップについてですが、たしかに多くの施設でナースキャップは廃止されており、私のいる施設でも数年前に廃止されました。作中ではあった方が描き分けやすいので使用しております。いつかその辺りの事情も4コマにできればと考えております。
※頭部と腹部の清潔度については分けるべきかどうか
現職のオペ看さんのMKさんからご質問頂きましたので追記です(2017/03/16)。私のいる施設では、頭部と腹部の器械は別々の機械台に置いていますが、特に清潔度は区別していません。2チームでやっていても臨機応変に反対側の術野に行ったり来たりしています。単に器械の出し入れのし易さの点から台を分けているだけです。
私もざっと調べたところではその辺りのエビデンスは見つけられませんでした。しかし、腸管が傷ついたり破れたりしない限りは腹腔内も基本的には無菌空間なので、清潔度を分ける必要はないと考えています。腹部の外科の一般的な手術では途中で腸管を離断したり吻合したりして針や器械が腸管の内腔に触れることになるのでそれらの器械は清潔度が一段下がるとは思いますが……VPシャント術は普通は腸管の内腔には触らないので大丈夫かと。
そもそも「器械をやや不潔とみなして区別する=腹腔内が無菌的な状態とはいえない」のであれば、そこに髄液腔とつながるチューブを入れることは禁忌でしょうし、おそらく腹腔内も頭部と同じ清潔度とみなして問題ないでしょう。
ご質問ありがとうございました。現場の方に読んでいただけて光栄です!