010 はじめてのオペ⑦ 骨蝋

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 何とか10記事目まで到達しました。メッセージをいただいた方々、ありがとうございました。絵を描くのはまあ好きだし、4コマ漫画くらいなら簡単にできそうだなーと完全にナメきってブログ始めましたが、こんなにきつい作業だとは思いませんでした。描きたい脳外科ネタはいっぱいあるのですが、4コマにきっちりと話を収め、絵を描くという作業は想像以上に難しいですね。

 骨蝋(こつろう)は別名ボーンワックス(bone wax)といいます。そのまんま、ロウです。袋から出したときは車とかスノボ用の固形ワックス並に固くて扱いづらいのですが、指でこねこねしているとだいぶ軟らかくなります。新人の器械出しさんが骨蝋を事前に練るのを忘れて固いまま術者に渡して怒られる、ということもしばしば起こります。

 骨の話になりますが、多くの骨の内部は海綿骨といって網目状になっています。この構造のお陰で骨は軽量で丈夫という性質をもっています。ハニカム構造と同じです。骨の網目のすきまには血球系細胞を作り出す骨髄がびっしりと入っており、そのおかげで骨の内部には非常に多くの血流があります。当然ですが、骨が切れたり折れたりした断面からは結構出血します。大腿骨の骨幹部や骨盤などの太い骨が折れた場合には内出血がひどすぎてショック状態になることもあります。

 そこで、骨の断面に骨蝋を塗りこんで止血することになります。指や剥離子(細いヘラのようなもの)で塗ります。ちなみに、前回少し触れましたが、頭蓋骨とそのすぐ内側にある硬膜との隙間からじわじわ出てくる出血も少しならば骨蝋で押さえて止めることができます。

 しかし大量に骨蝋を塗ってしまっては空きスペースが減ってしまい後の作業に支障がでます(上の絵はかなり極端ですが)。また、骨と硬膜の間に骨蝋を押し込んでしまうと、骨と硬膜の隙間を拡げることになり、かえって隙間からの出血がどんどん増えてくることもあります。ロウを塗りこむだけですが、なかなか難しいです。

~やりなおし後~
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