いよいよ第99回です。もうすぐ100回です(※だいぶ先になりそうですが)
お知らせですが、joynet支店に連載第17回を掲載していただきました!
皆様ぜひご覧ください。
さて第99回は血腫の除去も無事おわり、手術終盤に差し掛かっています。
急性硬膜下血腫の出血源となる血管は静脈だったり動脈だったり、細かったり太かったり色々です。しかし大量の血腫の割にショボい血管だったりすることもあります。
この手術の場合、硬膜を縫う際には内部に余裕をもたせるためにゴアテックス製の人工硬膜を一部あてた上で縫合します。Gore-tex®はアウトドア系の服によく使われる素材として有名ですね!意外な事に、医学の分野でも硬膜の代わりに使われているのです。
昔はこのゴアテックス製の硬膜ではなく、ヒトの死体の硬膜から採取した代用硬膜が広く使われていました……。
しかしこのヒト死体乾燥硬膜(商品名:ライオデュラ)の使用によりクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に感染して亡くなった患者さんが多数いました。悲惨な薬害事件です。
ちなみにゴアテックス製の人工硬膜にはヤコブ病の心配はありません。
8コマ目まで更新しました(2018/6/1)
減圧開頭術(げんあつかいとうじゅつ)は外減圧術(がいげんあつじゅつ)とも呼ばれます。
様々な原因でものすごく脳が腫れてきている場合、その腫れが脳の中心部に向かうと致命的になります。そこで、頭蓋骨の一部を取り外したまま傷を閉じることで脳の腫れを外に逃します。
外減圧術が必要なくらい脳が腫れる原因として多いのは急性硬膜下血腫などの頭部外傷、あるいは巨大な脳梗塞などが代表的です。
12コマ目まで更新しました(2018/6/5)
脳は基本的にすごくやわらかい(やや硬めの豆腐くらい)のですが、脳出血や脳梗塞などで腫れている脳は結構硬いです。
それと、正常な脳は心拍や呼吸に合わせて拍動しているのが見てわかりますが、腫れている脳はそのような拍動がなくなってきます。
はたしてこのまま手術を無事に終えられるのか……
16コマ目まで更新しました(2018/6/13)
何か良からぬ事がおこっていそうなときは、手術が終わっても気管挿管したまま麻酔を覚まさずに手術室から検査室に直行することがあります。施設によっては手術室にCTやMRIが設置してあり、すぐに術後の検査ができるところもあります。