机の上ならまだ見つけられることも多いのですが、床に落とすと本当に見つかりません。
今回は手術の練習に関する話です。脳の血管同士を縫合してつなぐ手術を脳血管バイパス術といいます。
最も代表的なものが「浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCAバイパス術)」です。これは皮膚の動脈を脳の動脈につなげて、皮膚から脳へと血流を送る経路をつくる手術です。
ちなみにこの浅側頭動脈は耳の穴のすぐ前のチョイ上あたりを指先で触れば誰でも脈をドクドク感じることができます!皆さんも触ってみてください。
こういった脳血管バイパス術の習得のため、人工血管同士を繋げるという練習を脳外科ではよくやっています。 当然ながら血管が細いほど難しいです。顕微鏡でみるので縫う所はだれでも見えるのですが、少しでも変な方向に余計な力を加えるとすぐに血管が裂けてしまいます。また、血管の裏側の壁まで間違えて縫い付けてしまう事もあります。
ちなみにベテランの先生に言わせると直径0.7mmはわりと簡単な方らしいです。「もやもや病」という病気の患者さんのバイパス術では0.2mm~0.3mmしかない脳の動脈に皮膚の動脈をつなげなければならないこともあります。本当に怖ろしい世界ですね。