027 みんなでVPシャント術① 水頭症とVPシャント術についての解説

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 ひさびさの更新になりました。そろそろ手術の話に戻ろうと考えましたが、水頭症は以前に描いた慢性硬膜下血腫に比べると複雑な病気なので、まずは4コマ漫画(というか12コマになりましたが)で水頭症とVPシャント術について解説しておきました。大変長くて申し訳ないです。

 脳脊髄液(髄液)は脳の内部の脳室というスペースにある脈絡叢で1日500ml程度つくられます。側脳室→第三脳室→第四脳室と循環していき、その後にクモ膜下腔というスペース(=脳や脊髄の表面にある空間)に流れ出します。最終的に頭のてっぺん辺りにあるクモ膜顆粒や、脳脊髄の毛細血管などから血管の内部に戻っていきます。

 この髄液の循環が妨げられると、髄液が頭蓋内に過剰に溜まってしまって脳が圧迫され、水頭症を発症します。妨げられる原因としては脳腫瘍や頭蓋内の出血・感染症などが代表的です。

 水頭症に対する手術としては脳室(Ventricle)と腹腔(Peritoneal cavity)をつなぐチューブを体内に埋め込むVPシャント術や、腰椎クモ膜下腔と腹腔をつなぐLPシャント術がよく行われています。患者さんによって、どちらの手術でも行える場合や、どちらか一方しか使えない場合など様々です。VPシャント術では下の図のようにして皮膚の下にチューブを埋め込み、基本的に一生チューブは埋め込んだままにします(汚い図ですみません。いつか描き直します。たぶん)。←VP、LP、VAシャントの3枚に増やして描き直しました(2017年5月29日)。
VPシャント図

LPシャント図

VAシャント図

※青い線はシャントチューブ、赤い線は皮膚の切開線、チューブの途中の膨らみはシャントバルブ(髄液の流れやすさを調節する器械)を示しています。この図はあくまで一例ですので、人それぞれ切開やバルブの位置はかなり異なります。

今後しばらくはVPシャント術の話が続く予定です。