指導医が「ちょっと貸してみろ」と言い、その局面での手術操作のコツを教えてくれる→そのまま指導医が全部やってしまう、という外科系にはよくあるパターンです。まあ自分がちゃんとできていないのが悪いのですが、数少ない貴重なチャンスをこんな風に持っていかれるとツライものです。
バイポーラというのは通電できるピンセットです。止血したい部分を軽く挟んで足元のスイッチを踏むと、電流により組織が焼かれ（焼灼、もしくは凝固などといいます）、出血が止まります。上に描いたように、大雑把に広い範囲を焼こうとすると上手くやけません。また、先端で出血点を強くはさみ過ぎても上手くやけません。
ブログに書く都合上、最後の方だけ止血したかのような流れになっていますが、実際には手術の開始から終了までずっと、必要に応じて何度もバイポーラでの凝固止血を行っています。ただ、傷を縫合して手術を終える直前には再度、全ての部位（脳、硬膜、骨、筋肉、皮下組織など）の出血が完璧に止まっている状態であることを確認します。止血がいいかげんなまま皮膚を縫合して手術を終えると、後で頭蓋骨の内部に出血してきて再手術！ということになりかねません。
※更新が遅れて申し訳ありませんでした。今後は週1～2回程度（火曜か金曜くらいに）更新するつもりです。